70周年インタビュー

「印刷を通じて、地域に文化を届ける」
――トーバン印刷・70周年に向けた社長インタビュー
2025年、トーバン印刷は創業70周年を迎える。
印刷業界が大きな変革の只中にある今、何を守り、何を変えていくのか。
佐藤徳幸社長に、インタビューを行った。
変わらぬ理念・地域貢献
――70周年を迎えるにあたり、改めて大切にしていきたいことは何でしょうか?
やはり一番は『印刷を通じて、地域に文化を届ける』ということですね。創業地の千厩(せんまや)から始まり、一関、奥州、北上、盛岡、そして岩手県全体へと、私たちが担うべき役割は広がっていると感じています。
――それは創業当初から変わらぬ理念なのですね。
そうですね。時代や手段は変わっても、地域に根ざし、文化を伝えるという本質は変わりません。
変化する時代に、印刷会社ができること
――一方で、変えていかなければならないものもありますね。
そうですね。まずは『デジタル化』です。近年では配達員の減少などもあり、広報紙などの電子化が進められています。保育園のおたよりやメニューの案内も、今やQRコードで確認する時代になってきています。
――たしかに、障がい者向けの音声読み上げ対応や、英語表記なども求められるようになっています。
そうです。英語教育サービスなどでも、QRコードを読み込んで、音声が出るような学習ツールが出てきています。私たちも、印刷に加えて、そうしたデジタル化にも対応していく必要があると感じています。
――3Dプリンターやドローンも導入されていますね。
はい、紙だけでなく、立体物への展開も視野に入れています。ドローンの空撮にも対応できるようになりました。お客様の『伝えたい』という気持ちに、より柔軟に応えられるようになりたいですね。
技術の継承と進化の両立
――長い歴史の中で、以前の印刷はどのように行っていたのですか。
当時は、中古のオフセット印刷機を使っていましたが、もう50年以上経ちました。色調整も、昔は半日〜1日かけて職人が手作業で行っていました。
――かなり大変な作業だったのですね。現在の印刷技術はどのように変化していますか。
今はデータ化が進んで、効率的に印刷できるようになっていますね。とはいえ、まだまだ版の管理や機械ごとの調整といった地味な作業にも、技術の蓄積があります。印刷の現場には、まだまだ”人の目”や “手”が必要です。
次の時代へ新しい価値を創る
――最近の印刷トレンドにはどのようなものがありますか?
一関市のご当地ガチャやインバウンド向けのコンテンツ制作、キャッシュレス化など、印刷業が関われるフィールドはまだまだあります。ただし、紙の印刷は“ゼロ ” にはならないけれど、“確実に減っていく”。その中で、私たちが“好きでやっているかどうか”が重要だと思います。興味や熱意がなければ、変化の時代には生き残れませんから。
――これからのトーバン印刷をどう描いていますか?
印刷という仕事の形は変わっていきます。でも、地域を支え、文化を紡ぐという役割は変わりません。技術を磨き、仲間と学びながら、次の10年、100年に向けて一歩一歩進んでいきたいですね。
70周年のメッセージ
――社員にはどのようなメッセージを伝えたいですか?
「恐竜になるな」ですね。変化に追いつく、技術革新を止めないことです。最近の世の中は“◯◯レス”の時代に入っています。人口減少、ペーパーレス、配達レスなど、既存のビジネスモデルはどんどん変わります。これの時代の流れに合わせて、みんなで学び、技術革新していく必要があります。
――最後に、70周年に向けて、社外に伝えたいメッセージは何ですか?
地域のみなさまのおかげで、トーバン印刷は70周年を迎えることができました。時代の流れに合わせて、デジタル化や環境対応の面でも取り組みを進めて参ります。そしてこれからも『印刷を通じて、地域に文化を届ける』という理念を大切にしていきたいと考えています。